第二章「目隠しの楽園」 3
山と森だけしかない。地名も場所も日本でありながら日本であることを忘却された、いや、意図的に行政機関から軍事機関、交流のある諸外国から敵対国まで協力した要塞のような土地がこの来須教授を筆頭とする研究施設の中枢であり、中に入ることは出来たとしても98パーセントの例外を除いた人間はここで生まれればここで死ななければいけないし、入ったものは見つかりここで立場がどのようなものでも組織自体に「飼われれば」ここで飼い殺されなければいけない。
幼少期からこの地域で暮らしているものは立場が奴隷や人形でなくても、全寮制で閉鎖的な表向きにはただの進学校などを買収してあるものが多く存在する中から学力や以降組織の中で役立つ部部分を育てることのできる教育施設へと入れられることが多い。
また、途中から巻き込まれたり、自ら入った者に関しても、表の社会からの末梢というのは簡単にできるものではない、故に名だけ残りどこにいるのか分からない秘密が多いミステリアスな人間と考えられるように仕立て上げられているか、交代として運良くといっていいのかどうかはわからないが残り2%の人間に含まれたヤツが影武者として出向き記録や記憶などはねつ造され置き換えられるのを当たり前としている。
だが、その中でも例外から例外が生まれることがあるのだ。
そして、私はその例外ではなかったが、それでも、例外の例外というものは生まれることを私はこの要塞組織の中で一人出会って知っている。
浅葱青磁は組織が作った人形とどこかの企業の重役との間にできた「失敗作」だ本来母性や生殖機能を低下させることで性奴隷として娼婦などをさせている人形が恋をすることも、ましてや子供を孕むことなどあってはいけないのだ。そういう意味で、存在してはいけないはずの「失敗作」として生まれたのが浅葱だった。
途中で堕胎させられなかったのは多分、妊婦を犯すことで快楽を覚える一部の客のためにその頃は人工的に孕ませたような状態にすることができなかった組織は本当の妊婦であった浅葱の母親に当たる人形を売り物にすることで放置したのだと考えられる。
浅葱自身望まれて生まれたわけではない、その重役にとってはただの遊びだったうえに、この地区は存在しないはずの人間たちが生活しているのだ。
人形であった母親に奇跡的に人間的な恋愛感情などが生まれてしまったとはいえ重役にとっては金で買える遊ぶための人形の一つでしかなかった。
現に人形である彼女が孕んでから生まれる直前までは客としてついていたようだが、面倒になったのか、やはり普通の若い女がよくなったのか、その客は他の人形を買うようになったと聞いている。
だが、一度恋愛感情などという人間らしいものを持ってしまうと洗脳など教育したものは無駄になることが多いらしく、浅葱が使える子供になるかどうかは分からないがとりあえず生かすために育てる人間が必要だという理由で男の代わりにあてがったところ物ごころつく頃には母親であることを忘れ、幼い浅葱を力と言葉でねじふせた上で愛を囁きながら何度も何度も凌辱していたと、研究所の資料室に置いてあった観察日誌で御堂はたまたま見たことで彼のトラウマになりえる過去を知っていたのだ。
中学に上がるあたりの年齢になったころ施設とは無関係だが、とある夫婦が養子がほしいということをいっていることや、彼等と例の浅葱の実父にあたる人物がおおきな契約をするのにあたって施設への援助も大幅に上がるということを知った大人たちは
性玩具扱いを受けていた浅葱を表向きに作られた児童福祉施設の元に一度うつして、父親からの紹介ということにして引き取らせたのだ。
本来ならここで彼は過去のことを口外しないように一部洗脳を行われるが自由を手にしたことになる。
ここに戻る契約も義務も何一つ存在しなかったのだから。
だが、皮肉なことに彼は有能で、親に恩を返すために立派になろうと医学者を目指した。結果としては、根底にある記憶が消せなかったせいもあったのか少し疑問が残るところだが、医学者としても生物学者としてもクローン技術に関しても机上の空論とはいえ、時代を先に進みすぎて表では発表できないが人が生命を判断する概念を大きく覆すようなものをいくらか見つけたというこが判明し、彼が再び裏の世界で利用価値が生まれたことを知った大人たちは彼に「復讐」の機会を与えてやるから戻るように説得した。
彼は、初めは自分の養父母たちのことを考え断っていたらしいが裏社会でならば自分の研究を続けることが可能だということや、堕ちては戻れないと思いながらも人が知ってはいけないほどの知識というものが存在することを思い出し研究者として妥協することができなかった彼はこの組織を嫌悪しながらも戻ってきた。
だが、彼は利口だったので影武者を置くわけではなく養父母へ自分の研究の利点や長所ではなく公的良俗に反する人として非人道的であり残酷な面だけを見せ失望させることで、家族との関係は断絶したという形でこちら側に移り住み、養父母たちには害が及ばないようにしたと聞く。一時的な裏切り行為でそれ以降に起こりえる可能性がある苦痛や害を取り除いたのだと長く付き合ってるものになら予想できるが、彼等の養父母にしても組織にしてもソレに気づいたものはいないようだ。
研究者として知の奴隷になったというだけでなかった。本来は表の社会での自分が浮いていることを自覚しての逃避目的だったことも「復讐」を目的だと偽りこちらへ戻ってきたのだ。感情的だと見せることで忠誠を誓いやすい単純なタイプだと思いこませるためだったように聞く。
彼は表での自由を捨ててまで「復讐鬼」だと呼ばれ、時にはそのせいで危険分子として排除される可能性も出てくるこちら側へと戻ってきた。
その行動は理解に苦しむものだった。彼が自分を裏切り続け男の愛を求め続けた人形に対して行った生体実験に関してもそうだ。
その場に立ち会った人間で監視カメラを含め真実に気がついたのは多分、御堂だけだっただろう。彼はショーのようにするように命令されたため解剖を生きたまま行ったが、クスリで壊れながらも与えられる痛みや怖さを人形は体現してはいたがソレは彼が人形を連れてこられる前に自分でその母親だった人形を洗脳して、自分が触れると恐れ、痛みを感じるように思わせただけで実際は他の研究員たちに見えないように、また形では残らぬ麻酔を作り使っていたので一切の苦痛がなかったことや。
眼球をえぐり出すときも表情一つ変えず、使える一部の臓器を摘出していくに当たっても彼は動揺を見せなかったが、ショーのような生きたままの解剖で見られる人形の苦痛にもがく姿と医学的な技術に皆が感心して気を取られている時に、隠し持っていた注射器を使い薬物投与を行い苦しまずに食肉用の人形の残骸とされるように、さらにひどい拷問や解剖を受けないようにしたことも御堂は気付いていた。
そのことが現在の彼の焦りや疑問をより濃くしたとも言えるだろう。
自分を裏切り傷つけ弄び蹂躙したような女を何故助ける?
女が嫌いというより、人間が嫌いなくせに何故時折慈悲深さが見え隠れするのか
ソレも不思議でならない。
何より、そんな人間が何故人形などというものを買う?
母親への懺悔か?それとも快楽への堕落か……
苛立たしげに咥えた煙草に火をつけ煙を肺へと送り込む
苦い味が口に広がり同時に少し頭がクリアになる様に感じる。
あくまで、ソレは感じるであって、事実ではないのは医学に携わら人間なのだから知らないわけではない。
煙草への依存性も毒性も承知の上で口にしている
手首を切ったり薬を飲んでオーバードーズをするような明らかな自傷行為はしないが彼、御堂はいつもどこかで自らの死を望んでいる。
「チッ」
ふいに敵意をむき出しにした昔の自分が住んでいるような。何かを信じて愛しさを抱いている人間のみができる純粋な眼をした浅葱を思い出す。
昔、まだ幼いころ。あの手の持ち主が誰かを覚えていて人の温かさと冷たさを知っていたころの汚いコトをしている義兄たちや両親に向けていた敵意を宿した甘い甘い自分と同じ光をした双眸
そんなことがあってたまるものか、不幸でいなければいけない報われてはいけない、愛してはいけない、愛されることも忘れなければいけない。
幸せを手にすることなんて許せない、彼は唯一自分と同じニオイを持つ人間だったのだから。
身勝手な嫉妬だと理解しながらも渦巻く感情に苛立ちアクセルを強く踏み込む。車は加速し、山を下るそして、一本のわき道にそれた奥の方に一つのコンクリートでできた研究所が見えてくる。
浅葱のラボだ。
彼は孤独を好み、孤独ゆえに結果を出してきた。故に上の者たちは妬みながらも彼が新たな開発をするのを促進させるべく、檻のような施設を与えた。
これは浅葱を閉じ込めるための鳥籠だ。
敷地に入ると初めに暗証番号式の鍵が設置されている。13桁の数字を入力すれば開錠される仕組みだ。御堂は手早く寸分の狂いを生じさせることもなく簡単に打ち込んだ。
御堂の予想通りその数字は浅葱の過去に犯した罪の符号そのものだった。
開いた扉に躊躇することなく御堂は足を踏み入れる。
カツンカツンカツン
と足音を立てながら近づいていく。
ふと足を止め一つの型が違う扉へと行きつく。そこだけは電子キーではなく鍵穴がついた古い作りになっていた。
ノブに手をかけ、彼とすれ違いざまに白衣から拝借したひとつだけ形が違う鍵を挿入する
開かないでくれ
未だにそんなことをどこかで願っていたように思うが、その願いは虚しく、彼の過去を閉ざした扉と同じように希望を閉ざすと同時にガチャリと音を立てるとゆっくりと扉は開いた。
ドアノブを握る指は汗ばみ、口の中には苦いものがこみ上げる。月明かりすら入らない隔離されたこの檻の中に存在する密室は何を孕んでいるのだろう。
姉の死体がぶら下がった部屋を思い出しながら奥の方で布がこすれる音を聞き、御堂は目を細め確認するように眺める。
「セイジ……?」
掠れた声で主の名を呟き起き上がろうと奥で眠っていたらしい少女が動いた時だ、何かが爆ぜる様な衝撃と壊すことへの衝動が彼の中の理性を瓦解させ気づけば強制的にベッドへと叩きつけるように押し倒した。
見覚えのある色、水色という人の遺伝子だけでは作れない銀髪のような薄い色素の毛髪、ピジョンブラッド色の瞳
自分が他の研究者と浅葱のデータをもとに創った三十体目の人形
特別な色だった、彼が愛を捨てるために創った色の一つだった、よく覚えている。母親だった旧世代の廃棄処分の人形扱いになった母親を生きたまま解剖し、ソレからとりだした臓器などパーツを元に作った遺伝子の配列や、ヒトとして必要なものを欠損させたり加えたりする技術の象徴なのだ。
だが、色が変われど新世代の中でもこの三十体目は元になった浅葱の苦しみを生み出した母親である人形に限りなく似ていたことを知っている。
「おはよう、コードナンバーE030」
御堂は眼下にいる少女の手首をきつく拘束しながら、これを壊せば浅葱がどうなるか……一瞬想像し、再び堕ちる彼を想像すると歪んだ笑みがこみ上げるのを感じた。
首だけ持ち上げるように周囲を見渡すE030を見下ろす
「何を探している?青磁ならここにはいないよ……ドール」
冷酷な視線で捕えながら、ドールと呼ばれ、E030の名をもつ少女が自分が与える恐怖に全力で抵抗しようとしたが、御堂自身が放つ香りが鼻腔を擽り上手く力を入れることができずに組みふされるように跨られる
「やっ……」
悲鳴を上げようとしても声が上ずって上手く声にならない
御堂が何をしようとしているのかは彼女たちドールと呼ばれる種類の人間は香りで判断する。
つまり、この反応は彼女自身が自分に恐怖や危機感を抱いていると理解しながらも、人形風情がそういう感情をもつことさえ疎ましく感じた御堂は気がつくと手を挙げていた・・・・・・
バシッ
抵抗しようとした人形の頬を強くはたくと、片手で彼女の両腕を固定したまま御堂は何か桃色の液体が入った瓶の蓋を口で開き、あおりソレを口に含むと、今迄にされたことのない強くはたかれたことや仕打ちに対してで呆然として少し開いた人形の唇をそのまま奪う形で喉の奥へと流し込んだ。
チュッ……クチュクチ……
喉の奥さえも犯し蹂躙するように、自分の舌を絡めることで彼女の舌にも丹念にその液体を絡ませていく
すると、彼女の体は数分と経たぬ間に熱く淫らなものへと変貌していった。唇が離れ、空気を吸い込む頃には貞操帯をつけられた下半身からは愛液が溢れ出しヌラヌラと太ももをライトの光で照らしだされていた。
所詮は雌でしかないという蔑みを孕んだ視線でソレを眺めながら彼は口を開く
「淫乱なドールに育て上げられているようだが、貞操具をつけられるとはよっぽど節操がないのか、青磁がお前に執着しているのかどちらなのだろうな?」
本当はわかっているその答えは後者であることも、この人形がどれほど彼に大事にされ「愛されて」いるのかを……
御堂は頬を校長さえ白い肌を赤く染めながら息を荒くしている水色がかった銀糸のような髪を束でつかみ上げると目を細めて品定めをするようにレイラを見つめた。
そこにあるのは研究者としての好奇心や、青磁への嫉妬、そういうものではない……
過去の因縁と同じではなくとも似て非なる彼が自由になることへの拒絶だった。
人形の額からは一筋の汗が伝い床へと落ちるのを確認して御堂は薄く笑う。
「今確かめてやろう、俺はお前のご主人さまのお友達でお前が作られて調教されていた時の研究者の一人だ。作品に興味がないわけじゃない」
その言葉を理解したかどうかは分からないが、若干焦点が合わなくなっている瞳をしながら彼女は腰が疼き下半身が雄を求めるのを全身で感じながらも、貞操帯を外す扉と同じ方をしたその鍵を差し込まれそうになったところで、熱くなった手のひらで必死に御堂の手首を掴み首を左右にふった
「やっ、セイジ……セイジ!!」
恐怖からなのか従属なのかは分からないが主の名前だけを連呼する彼女を見つめる御堂の瞳に残酷さと苛立ちがにじみ出る
「お前のご主人様はまだ帰ってこないさ。天才っていうのはもうろくじじいたちにもてるからな、それまで俺のペニスの味でも覚えるんだな」
「ひぁっっ!んんんんむ」
絶望を、救いを言葉にする前に遮られ若干固くなったペニスで喉の奥まで付きあげられ、ヒクヒクと身体を震わしながら抵抗していた手首を落とし涙を落とす
「っ!おいっ!歯を立てるな!ずいぶんと甘やかされてるようだな」
バシン!!
鼻をきつく摘み、無理やりペニスを引き抜くと先ほどはたいた方とは反対の頬を手の甲で強くはたいた。
涙を流しながら焦点が合わない体になりながらも怯え、主だけを望み、ドールにはないはずの感情さえ見え隠れする。
ソレは御堂というさらに強い苛立ちを抱かせた。
「……ばれるかもしれないから貞操帯をはずすのはやめるつもりだったが、気が変わった、性を求めるしか能のない存在だということを思い出させてやる」
「ひっ!!!!」
鍵を差し込まれ外されることを貞操帯を視界の端でとらえながらも
救いというように青磁の名を呼ぶその声や言葉をさえうぎるように御堂は愛撫をされてはいても機能的な部分では未使用であり、処女の純潔を守っていたヴァギナに御堂のモノが無理やりねじこみ処女膜を削ぎ取るようにミチッっと鈍い音をたてた時だった。
扉が勢いよく開いたと思うと次の瞬間、壁へと打ちつけるように叩きつけられた。
左頬が骨から疼くような鈍痛と熱を感じはじめ、御堂はぐらつく頭に昏倒しそうになる体をのそりと起き上がらせると殺気すら孕んだ暗い蒼色をした瞳をした若き研究者であり、この屋敷の持ち主である浅葱青磁と向き合う
「ずいぶんと無粋な真似をするんだな?人形愛好家で名高いプロトタイプ制作担当の博士様は」
嫌悪と侮蔑と殺意が入り混じり憎悪に近いものを映した瞳で青磁は御堂を見下ろす
だが、そんな青磁を見れば見るほど御堂からは彼への失望でもなく嫉妬でもなく哀惜でもなく……そばにいるべき共に歩む道すら失われ人形や愛情なんて言う仮初に奪われたことだけを思い知らされるのだった。
「そう睨むなよ、お前の仕込んだ人形がどんなものか興味がわいただけだ」
軽口をたたけるのなら叩いてしまおう傷つかぬために。目をつぶろう目隠しをしたあの日を思い出せ
目の前が暗くなっていく零れおちていくコトノハにもう感情はいらない
御堂は心を再び閉ざし遮る冷たい気持ちで
「っ、勝手に人の部屋に入り、人のモノを盗み、人の者に手をつけ、傷つけようとした言い訳がそれか!?」
「……いや……でも、一つお返しに教えてやるよ。お前よりも、ここが長い俺が知らないとでも思ってるのかと思ってね」
「何をだ……」
震える人形を毛布で包みながら青磁は嘲笑するような御堂に尋ねる。
「何をって?いいのか?その大事な大事な人形ちゃんにお前が重ねた罪を聞かれても」
「!?」
息が止まるかとさえ思う、目を見開いた青磁の瞳には恐怖でひきつる自分と過去のソレが御堂の言葉と瞳を通して映し出されていた。
「何を……」
「水色のような銀糸の髪に、ピジョンブラッドのように紅い血のような瞳の色が出来るまでの過程でお前は何をしたのかって言うことだ……そして、それを実行するためにどうしたかということもな」
「帰れ……」
「人体実験なんて平気だったよな?俺もお前も人形を作る段階で作っては使い捨てるチェス駒みたいなクローンたちの存在なんて……でも違うお前は」
「帰れっ!!!!!」
語気は強く瞳の光は失われ、青磁という人間の心が音をたてながら壊れたようにさえ見えた。ただ、明確であることは青磁という名を持った男はその状態になって明らかに御堂に対して拒絶を示していた
そこで再び、御堂に少しの安堵をもたらした空気は軽くなることはなくのしかかるその場にいる者たちに
「まぁ、いいさ、お前の人形ちゃんをキズモノにしかけたのは事実だったようだし、殴っちまったからなこれでおあいこってことにして上層部にちくったりはしねーよ」
両肩をすくめながら殴られて唇が切れた部分から流れる一筋の血を拭いとる。
「…………」
今の状態の青磁に言葉が届いてるのかはわからなかったが御堂は最後に扉から手を離すとき小さくつぶやいた
「だが、たとえ罪がなかったとしても人であるかぎり、愛されることはないし、お前が持っているものも多分幻想だ。人形とヒトの間に感情なんて成り立つはずがない」
と……寂しげな声は最後には消えるようなものだった
車に乗ってアクセルを踏んだ
口に広がる血の味と零れおちる血の滴を気にするわけでもなく、泣くことを知らない子供のように
苦しみだけを浮かべた彼はただ黙って車を走り続けさせた。
「愛情なんて認められるものか。認めてしまえば……いや、俺にあるはずがないのに、お前が持っているはずがないんだ青磁、お前だって奈落まで落ちてしまった人間なのだから」
その声はかすかに震えたような乾いた声で雨脚が強くなり車のガラスを打ちつける雨音に消されていった……
PS
御堂視点からの第一章愛玩奴隷の凌辱未遂部分です
ここで彼が瓦解してしまったのはいうまでもありませんが
もう少々お付き合いください
省略するべきかと迷ったのですが、彼視点でも書いてみたかったのであえて書かせていただきました
10月26日大幅加筆
いや、更新する前に張り付けるの忘れてた部分を書き足しました




